差出人は姫羅。


初めて送られてきたメールに少し驚いた王輝だが、文面を見た瞬間、思わず笑みを浮かべる。



「王輝君、材料とか作り方とか、メモは終わってる?」


「あ?……あ、す、すみません」



慌てて携帯電話を片づける王輝を見て、宇率がにっこりと笑った。



「ケータイ?」


「えぇ……。ちょっと家から連絡があったので確認してて……。あ、メモは途中なんですけど……」



少し戸惑い気味にそう言った王輝に、宇率はにっこりと笑った。



「別に大丈夫だよ! これ、来女が書いたやつなんだけど、良かったら受け取って」


「え? でも、先輩の分は……」


「これは王輝君のために書いたやつだから大丈夫! あたしのは別にあるの」


「あ、すみません……。ありがとうございます。……優しいんですね、先輩」



そう言って、王輝が不器用に笑って見せた。



「あ、ありがとう。じゃあ明日ね」



焦ったように微笑んでから家庭科室を出て行った宇率を見て、王輝はにやりと頬を上げた。