「姫羅の体のどこに引き締めなきゃいけない部分があるのか、あたしには全く理解できないんだけど?
むしろ、あたしの方が引き締めなきゃだし」


「み、見えないだけで、いろいろと大変なんですのよ!」


「はいはい。わかったから!」



自棄になる姫羅を。鈴がなだめるように言う。



「じゃあ、せいぜい頑張って引き締めてきなさい! で、来週になったら一緒にスイーツでも思いっきり食べに行こ!」


「そ、それでは、ダイエットにならないのでは……?」


「だから、姫羅に引き締めなきゃいけないとこなんてないでしょ? 文句は一切受け付けないから」


「……わかりましたわ」


ごめんなさい、鈴……――――



おそらく、姫羅が隠し事をしていることに気づいているんだろう。


それでもこの反応をくれる鈴がありがたい。



がくっ、と肩を落とす姫羅に、鈴は満足そうな顔を向けた。



「よろしい!それじゃ、あたしは帰るね。可愛いカフェ探しは任せといて!」



そう言って颯爽と去っていく鈴を見て、姫羅は小さく笑って見送った。



「ありがとうございます。鈴」