これでも王輝なりに誉めているのだろう。


少々遠回しな言葉が、王輝らしいとも言える。



そんな王輝を見て、姫羅は小さく笑うと、姫羅はまた口を開いた。



「ところで、そちらはどうだったんですの?」



微笑む姫羅を見て、王輝が思わず顔をしかめる。


眉間にしわを寄せた王輝を見て、姫羅は不思議そうに首を傾げた。



「宇率来女のことか? あいつは最悪だ。……とてつもなく“いい奴”だった」


「はい?」


「困っている奴がいればすっと手を差し伸べる。不機嫌な顔なんて人には全く見せない。料理もできる。
料理部の副部長だってことだが、部長が不在の今日も、部員をきちんとまとめてたからな」



淡々と宇率への誉め言葉を述べる王輝を見て、今度は姫羅が顔をしかめた。


宇率のことを誉めているのに、今の王輝にはやわらかい雰囲気が全く見られない。



「何だよ、その顔。せっかくの美人が台無しだぞ」