「俺に謝ってどうするんだよ。どうせなら、自分に謝ってから暗い顔上げとけ。
せっかくの色白も小顔も台無しだぞ」



安出の視線に合わせるようにしゃがみこみながらそう言うと、任御はにやりと微笑んだ。


そしてそのまま、右手をぽんっ、と安出の頭に乗せる。



「セクハラです。任御先生」


「……何でそこだけ速答なんだよ。それだけ言えるなら十分元気だな。
ほら! もう1回泳いでこい!」



不満そうに眉をしかめると、任御はすっ、と立ち上がった。


しっかりとストップウォッチを握る任御に、先程までの砕けた雰囲気はない。



その様子を察したのか、安出はしっかりと頷いてから水中に顔を隠した。



「……“元気”、ですわね」



小さくつぶやくと、姫羅は小さく息を落とした。