このような出来事が3日ほど前にあったものの、あれから特に特別に取り上げるようなトラブルはなかった。


王輝と姫羅も、普段と変わらない学園生活を送っている。



姫羅としては、他の生徒の目を盗んでにやりとした視線を送る王輝に少々戸惑ったり

休み時間の度に、2-Cの前を通る浦島さんの行動に気が付いたり



……と、小さな変化を感じているようではあったようだが、それはそれで微笑ましい。



私も、王姫の仕事で授業を欠席する際の“言い訳”に関する文章を2人に渡すようにと乙戯花氏から言われた程度で、大したことはしていない。



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乙戯花氏が仕切る童話研究委員会に
選ばれてちゃって……。
委員会活動が忙しいんだぁ。

ちなみに、ここだけの話、
童話研究なんて名前の委員会だけど
ただのパシリなの!
その割にサボると罰則アリでさー。
ひどくない?

だから、ちょっと行ってくるね。
ごめんっ!

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乙戯花氏からいただいたメモをそのまま2人の部屋の机の上に置いておいたが、2人がこの文章をこのまま使うとも考え難い。



……こんな言葉遣いを、乙戯花氏は一体どこで覚えてきたんだか。


疑問はいくつか残るが、これは、乙戯花氏と接触することを避ける傾向にある学園の人間にはとても効果のある言い訳だと言えよう。



私は小さく息を落としてから、専用ルームのソファーでくつろぐ乙戯花氏の元に、コーヒーの入ったカップを運んだ。