「そういえば姫羅、料理ができるって言ったよな?」


「えぇ。一応……」


「じゃあ、晩飯作ってくれるか? 腹減った」



そう言って、王輝は姫羅に視線を合わせた。


真っ直ぐにのびる視線は、どこか無邪気で、それ故に力強くも感じる。



「え?」


「もしかして、外食とか門限とか厳しい感じ?」


「いえ。そうではありませんが……」


「なら問題ないだろ」



“外”の王輝しか見てこなかった姫羅に、王輝の自由さとテンポはまだ速い。



「ここで食おーぜ。どうせ材料もいいものがそろってるんだろ」


「まぁ、おそらく」


「じゃあ頼むよ。今日は大した課題もないしさ。あ、和食で頼む」


「……わかりましたわ」



少し抵抗をするように軽い非難の視線を送る姫羅を見て、王輝はにやりとした笑みを浮かべた。