浦島瑠は、2-Dの生徒だ。


評判は上々。

格好良く、優しく、頼もしいと人気のある、爽やか好青年だったはずである。



その影響もあってか、王輝と瑠が共に行動していることに対して、不満を抱いている生徒も多いと聞く。



「瑠は俺の友達だ。でも、それと当時に俺の監視役でもある」


「監視役、ですの?」



わけがわからず首をかしげる姫羅に視線を合わせることもないまま、王輝は話を続けた。



「瑠の父親は、親父の秘書兼護衛なんだよ。瑠の家は代々、宝子家の敷地内にある家に住み込んで働いてる。
それで、瑠は俺が命令をしい守ってるかを監視して、親父に報告するように命じられてるってわけ」



理解できない世界ですわ……――――



同じ学園に通い、同じクラスで生活している生徒でも、各々家庭の環境は異なる。



両親に反発することなく、素直に育った姫羅にとって、王輝とその父親のやりとり、瑠の存在はとても新鮮なものだったんだろう。



「では、何故そのことをあたくしに?
しかも話の流れから考えますと、今は素の態度であたくしと接していらっしゃるのですよね?」