「俺は宝子王輝。宝子さんなんて堅苦しいし、俺のことも王輝でいい。
俺も、部活には入ってない。
俺は家事はできないから、ここにいる時の食事なんかは遠慮なく頼む。その代わり、機械関係とか力仕事系は頼ってくれていいから」



やはり、負狸教頭がいらした時とは雰囲気が違う気がするのですが……。


どこか納得できない、という表情を浮かべながら、姫羅はそのまま口を開いた。



「わかりましたわ。ありがとうございます」



そう言って、もう一度軽く頭を下げる。



「いえいえ」



……何か、可笑しかったのだろう。


姫羅を見て、王輝が肩を揺らした



「ついでに言っておきたいことがあるんだが……」



不思議そうな顔をする姫羅を見てにやりと笑うと、王輝が話を続けた。



「俺の学園でのイメージって、どんな感じ?」


「はい?」


「だから、姫羅は俺のことをどんな人間だって認識してたのかを聞いてるんだよ。
気弱で、優柔不断で、成績がいいだけのダメ人間ってとこか?」



さらさらと話す彼を見て、姫羅が思わず目を見開く。


自身の陰口ともとれるような言葉を、今の姫羅には微笑みながら発する王輝はかなり変わった人間に見えるだろう。



言葉が見つからない、とでも言うような姫羅を見て、王輝はにやりと笑った。



「あれ、演技だから」


「……はいっ!?」