「ありがとうございます」



一言そう言ってから、私はまっすぐ2人を見た。



「乙戯学園秘密警美部は、乙戯学園を影で守り、支え、より美しい学園へと導く機関です。

発端こそ乙戯花氏の奇妙な思い付きですが、このような機関があれば学園での皆さまの生活はより豊かなものになっていくでしょう。
是非、お2人の力で曇った学園に明かりを灯して下さい」



乙戯花氏がマイペースで強引に話を進める方だからだろうか。


私にはこうした、ゆっくりとした話し方が身についている。



おそらく、今日1番の穏やかさをまとっているであろう私を見て、2人はしっかりと頷いた。



「もちろんですわ」


「もちろんです」



そう言って微笑む2人が、とても頼もしく見える。



南校舎最上階。

4階西の端。



昨日までは静かで無機質だったこの大きな部屋にも

あたたかい空気が溢れてきたような気がした。