真っ白なクロスが貼られた壁。

白いフローリングの床。

中央には、ふさふさとした白い絨毯の上に丸いガラスのテーブルと真っ赤なソファー。


部屋の奥には、作業用のデスクとパソコンを設置してある。



もちろん、それだけじゃない。


真っ赤なキッチンに、赤いラインが入った白い冷蔵庫。

大きなテレビ。



バス、トイレ、洗濯機、乾燥機、ウォークインクローゼット、……。


下手なマンションより広く、手入れの整えたこの部屋は、ここが学園の中だということを忘れさせる程の出来栄えだった。



「あ、あああの! 負狸教頭。
こ、ここんな立派な部屋を、何故僕たちのために……?」



いきなり目の前にあらわれた空間に驚いたように、王輝があわあわと言葉を発した。



「勿論、お仕事を円滑に進めていただくためです」


「しかしそれならば、このように立派な設備の部屋でなくてもできるのではありませんか?
乙戯花氏は、学園の皆さまの悩みを解決することがあたくしたちのお仕事だとしかおっしゃっていませんでしたし……」


「あぁ……。あの説明だと、そう捉えてもおかしくはありませんね」



私は、苦笑いを浮かべながら口を開いた。



「正式には、王姫の仕事は……探偵に近いかも知れません」