小説書いてる・・・なんて誰にもいえなくて。


もしかしたら僕の周りに出来ていた壁は全部、
僕自身が生産してしまってるんじゃないかって思ったんだ。



「席替えとかしたくない?」


「僕は別にこのままでもいいよ」




このままで。

このままがいいんだ。



だってさ、
下手に真ん中になっちゃったら僕はどうすればいい?



教室の真ん中で、一人取り残されたように
沈んでいくのだけは嫌だったんだ。










教室っていうのは案外恐ろしいもので。



僕にはさ、みんなの内に秘めている
ドロドロした部分が見えていたりしたんだよな。




一見仲良さそうに見えるグループ内に出来てくる小さなヒビ。


みんな笑顔で写っているはずの写真に潜む嫌悪な雰囲気。


仲の悪い2人の間を繋ぐ、長く細い、赤い糸。


あの先生は、実はいい人なんだよな。


あの子は今、お前の言動で傷付いたよ?


文句言ってるけどさ、
実は楽しくてしかたないんだろ?





別にね?


変に力があるとか、そんな胡散臭いものじゃないんだ。



ただ、こうして壁を通して外側から見ていると
いろいろと伝わってくるんだ。



そんな内に秘める感情が鬩ぎ合う教室は
とてつもなく恐ろしいよ。



いつ起爆するかわからない爆弾付きなんて、
みんなは知りもしないけどさ。





だからかな?



僕がこの教室の隅の席で、
見えないそれに怯えてしまっていたのは。






変なふうに考えずに、そんなものは見えないふりをして、
ただみんなと一緒に生活すればよかったのにな。













・・・なぁ。





こんな怖い話をしても、
みんなは怖がらないで傍にいてくれる?