7月14日。
カウンセリング『3日目。』
「今日は……
絵を書いてもらいます……。
この三枚の絵を使って、自分が
思う物を書いて下さい……。」
そう言って、吉野は三枚の紙を渡した。
その紙には、丸と三角、四角が書かれていた。
「丸の紙は、時計を
三角と四角は、好きなように書いて下さい。」
私は吉野の顔を一度見て、書き初めた。
吉野の視線がいたい……
顔を上げ言った。
「みられると、書きずらいんだけど…。」
吉野は、
「あ~~…ゴメン。
少し、出てようか?」
その言って、ドアを指さした。
「時間かかるから……
4時間目に来てよ。」
吉野は、あきれた顔をしたけど、了承した。
吉野が出て行った後
私は絵を描いた……
一時間ほどで描き終えると
ソファーの上に転がり、目を閉じたーーーー
「サオさん。
起きて下さい……。」
吉野の声に、目を覚ます。
「ん~。もう、時間?」
「描きおわりましたか?」
「あ~~、終わったよ。」
そう言って、一番上の紙を渡す。
一番上の紙は、四角。
私は、箱型の形を描いた。
「これは……。箱ですか?」
「あ~~、ゴメン。
描き忘れた……。」
そう言って、吉野の手から紙を奪った。
「ちょっと、待っててね!」
すらすらと、絵を描きたす。
さっきの箱の下にお皿の絵を描き
吉野に渡す。
「あの~……これは?」
「豆腐。」
「…………。」
黙りこむ吉野。
ニヤッと笑う、私。
「つ、次の絵を見て見ましょう。」
「じゃあ~、次はコレ~♪」
そう言って、丸の絵を渡した。
丸の絵は、時計。
この部屋にある時計を
まるで、写真で撮ったような絵。
吉野は、固まった……
「うまいでしょ?
そこにあるの描いたの♪」
時計を見上げる吉野。
「スゴイね。」
一言つぶやいた。
「次は、コレね♪」
最後の絵を渡した。
三角の絵は、その絵を中心に
一点の隙も許さないような幾何学模様。
そのまま、額縁に入れて飾れるような
デザインをした絵。
吉野は、目を見開き
私の顔を見た……。
「……………」
「……………」
「………なんか、言ってよ…。」
私は、吉野の目をじっと見て言った。
信じられないって感じで、首をふる……
「今日も、疲れちゃった。
帰っていい?」
吉野は、黙ってうなずいた。
「また、明日ね♪」
吉野に笑顔で言ったら
「また……、明日……。」
吉野は、消えそうな声で応えた……
