魁さーん? 

あなたは一体、何処にその笑顔を向けているんですかね?

明らかに、私の後方に視線が向いている魁さん。

それに…今の言葉は、私に向けられたものじゃない。


───何だか、嫌な予感がする……


後ろを振り向いて、確認するのがとても怖いんですけどっ!!


「………………」


……よしっ!

意を決して、背後から感じる重い空気に恐る恐る振り返ってみれば……

辿り着いた視線の先には、周囲の空気を凍てつかせるオーラを放った二人の兄がこっちを見ていた。


───あぁ、やっぱり……


マーク兄さんの、突き刺さるような視線が痛い。

そんなマーク兄さんを伺うように、頬を引き攣らせるアル兄さん。


こんな空気の中、予定通りに進んでいく礼拝。

いつの間にか聖歌隊の歌は終わり、クリスマス礼拝の典礼文が読まれているのだけど……

この凍えそうなオーラを発している兄さんに気を取られて、その典礼文も、ロンドン司教様のありがたいお説教も全く耳に入ってこない!