低く唸る声は、触れた額から響いて伝わってくる。
「こいつに、何をした?」
もう、一度聞こえてきたその声に視線をゆっくりと上げれば
「はっ、離しなさいっ!!」
私を平手打ちするはずだった手首を締め上げて、お婆様を物凄い眼力で睨み付ける魁さんの姿があった。
───本当に……本当に、魁さんなの?
だって、此処はイギリスだよ?
それに、魁さんはインフルエンザで寝込んでるって、葵さんが言ってたよね?
一瞬、自分に都合のいい夢でも見ているのかと思ったけれど、それでも聞こえてきたのは間違いなく魁さんの声で。
「この手で、こいつに何をしたのか言ってみろ!!!」
「……ひっ…!!」
殺気を孕んだ声に、震え上がるお婆様の口からは小さな悲鳴が漏れた。

