叩かれた頬を押さえて、私を睨み付けるお婆様を呆然と見上げた。
「どうして……」
休養の為に、妹さんのお屋敷に行っていたはずのお婆様が何で此処にいるの?
「どうしてですって? それはこっちの台詞です。
何故、私が自分の家を追い出されなければいけないの!!」
「追い出された…?」
その言葉に、妹さんのお屋敷に行ったのはお婆様の意思ではなかったのだと悟った。
じゃあ、お婆様は休養という名目で無理矢理妹さんのお屋敷に行かされたの?
誰に? なんて、聞かなくてもわかる。
お婆様の行き先を勝手に変える事が出来るのはマーク兄さんしかいない。
「マリア様!」
もう一度聞こえてきたランスロットさんの声に、ハッとして意識を戻せば
「お前なんていなければっ!」
私よりも背が高いお婆様からの平手打ちが、再び振り下ろされるのが視界に映ってぎゅっと目を瞑った。

