「でも……」
ランスロットさんは帰っても構わないと言ってくれたけど……
このままじゃ、私は一生、彼女から逃げなくてはならなくなる。
今は、私一人じゃない。
此処には、マーク兄さん達も皆いるんだから大丈夫……
両手を握り締めて、そう自分に言い聞かせる。
「大丈夫です。その代わり…礼拝が始まるギリギリまでは、外で散歩していてもいいですか?」
私の意志を伝えれば
「畏まりました。では、マーク様にはそのようにお伝えしておきます」
了承の返事をしたランスロットさんは、胸ポケットに入れてあったスマホを取り出す。
「ありがとうございます」
スマホを耳に当てたランスロットさんに、お礼を言ってから寺院の前にある公園へと足を向けた。

