取り敢えず、お婆様に問い質す事を諦めて、アルからの電話に出る為に部屋を出る。


「Hello.」


『あ~、やっと、兄さんに繋がった……』


電話口のアルは繋がった安堵感からか、ホッと息を吐いていた。


「───それで?」


『魁に連絡ついたよ。アイツ、インフルエンザで寝込んでた』


「インフルエンザ……?」


思わず、眉間に皺が寄る。

やはり、世話になっていた間にマリアと接触していたという事か……


『……で、魁からの伝言なんだけど…────』


アルの口から告げられた、魁からの伝言の意味を悟る。


「そうか……わかった」


それを聞き終えた俺は、アルとの電話を終了させ、ゆっくりとした足取りでお婆様の居るリビングへと戻って行った。


──…手遅れになる前に……