Wonderful DaysⅡ



急いで魁君の部屋へ行ってみたけれど……

響君の言った通り、部屋はもぬけの殻。

魁君の腕に刺さっていた筈の点滴の針は絨毯の上に転がり、大量の輸液がシミを作っていた。


「魁のヤツ……一体、何処に行ったんだよ?」


響君が、それを処理しながら呟く。

部屋を見回してみれば、脱ぎ捨てられたパジャマがソファーの背凭れに掛かっていて。


「もしかしなくても、魁君……外に出た?」


「は?」


「だって、外に行く用がなければ服に着替えないでしょ」


マヌケな声を出した響君に答えて、ソファーに掛かるパジャマを指差す。


「マジかよ……」


言葉を失くす響君に


「今頃、イギリスに向かってたりして……」


最早、冗談では済まなさそうな事を言ってみれば


「…………」


無言で、点滴の針をポロリと落としていた。