「お婆様が、首を長くして待ってるよ」


マーク兄さんの言葉に、顔が強張る。


お婆様が待っているのは、マーク兄さんとアル兄さんだけで、私の顔なんて見たくもないはず。

でも、マーク兄さん達は私が嫌われている事を知らないから……


「…そうだね……」


……と、いつものように答えるのが今の私には精一杯。


───これが、夢だったら良かったのに……


そう願わずにはいられないけれど、頬を打つ風の凍てつく寒さに、現実なんだと思い知らされる。


───魁さん、インフルエンザ大丈夫かな……


ふと、空を見上げて遠い日本へと想いを馳せる。

思い出すのは、魁さんのプレゼントを選びに行った時の葵さんの言葉。


『……ところで、マリアちゃん。魁が今、インフルエンザで寝込んでるの知ってる?』