両親が飛行機事故で亡くなって、突然環境の違うこのイギリスに連れて来られてからは辛い目にあってばかりだったマリア。
魁との約束を支えに、少しずつ笑顔を取り戻していたあの子を再びどん底に追い遣ったのは、日本人学校で出会ったあの男だった。
あいつのせいで、魁と交わしていた約束の期日よりもかなり早めに日本に送り出すことになってしまったけれど。
往生際悪く、約束の日までは…と手を回したにもかかわらず、いつの間にやら仲良くなっていた二人には苦笑いするしかない。
俺やアルが常に考えるのは、マリアの幸せだけだ。
そのマリアが魁の隣にいることが幸せなのだと言うのならば、それを見守ってやるしかないじゃないか。
あの子の笑顔を思い出しながら、香りの良い紅茶に口をつけた。
そういえば……
あの寝起きの悪いマリアを、魁がどうやって起こしたのか不思議で仕方が無い。
まず声をかけたくらいじゃ起きないし、体に触れようものなら問答無用で手か足が飛んでくるあのマリアを。
「……………………」
参考までに、今度時間のあるときにでも魁に聞いてみるか……。
【完】

