落としていた視線を上げていけば、ランスロットがこちらを見ていて。
「……………………」
何も言わないが、早く飲めと促されている気がする。
賭けに負けた俺を慰めるつもりで淹れてくれているのは分かっているのだが、この匂いを嗅ぐと「あぁ、また負けたのか……」と再認識して、敗北感が何十にもなって押し寄せてくるのだ。
溜め息を一つ零し、目の前の紅茶を手に取る。
一口含んで、思うこと。
───やはり美味いな、この紅茶……。
「できれば賭けに負けた時ではなく、普通に飲みたい」と言ったら、紅茶の種類を変えてくれるだろうか……
そんなことを考えている時点で、負けに慣れてしまっている自分が情けない。
紅茶の水面に映る自分に視線を落として、こんな賭けをするきっかけになったアイツとの出会いを思い出す。
『俺が18になったら、マリアとの結婚を許してください』
五年前……若干12歳の魁に、マリアとの結婚の許しを請われ
『お願いします』
『─────分かった……』
あまりの思いの強さに、やっと口から出た返事は「Yes」だった。

