「もう一つ……」
「え?」
今日こそは勝てる!
そう思えば、口元が緩むのを抑えられないまま魁に視線を向けた。
「もう一つ俺と賭けをして、お前が勝ったらマリアと二人でクリブデンに行かせてやる」
「兄さん!?」
俺の言ったことが信じられないといった表情のアルを横目に、魁の反応を見る。
「どうする?」
「いいですよ。で、俺は何をすればいいんですか?」
今まで俺からの賭けを断ったことがない魁が、提案に応じるのは安易に予測できたが
「もうすぐ7時だ。お前も実際に見て分かっていると思うが、マリアはこの時間は熟睡していて、起こそうとすると昨日のアルの二の舞になる」
「……はい」
「だから、お前が一発も殴られずにマリアを起こしてくることができたら……二人で出掛ける事を許可してやる」
「分かりました」
あっさりと笑顔で了承した魁が、まさか本当に無傷でマリアを起こしてくるなんてことは想定外だった。

