「───確かに、賭けるモノを決めてなかったな」
「はい」
俺の言葉に頷く魁。
なんで、賭けるモノを決めずに魁と勝負などしたのだろうか。
あぁ、あの時の自分を呪ってやりたい。
まさか、ここでそれを持ち出されるとは思わなかったが……
相変わらず有無を言わせぬ笑みを浮かべる魁に、これ以上の隙を与えるのは癪だった。
「……………………」
なんとか魁とマリアのデートを阻止できないかと、思考を巡らせていれば
「兄さん?」
俺の様子を伺ってくるアルに声を掛けられて、ある賭けを思いつく。
ここ最近は、悉く敗北を喫しているが……
この賭けならば、絶対に負けるはずがない。
“今度こそ”
そう確信して
「なんでもない」
アルに向けて言葉を発した俺の口端は、きっと歪んでいたに違いない。

