Wonderful DaysⅡ




「───随分と、楽しそうだったな」


仁王立ちで待ち構えていたマーク兄さんの低い声が、ぐさぐさと突き刺さるように聞こえてきた。

思わず、恐怖で繋いでいた手に力が篭ったけれど


「えぇ、とても楽しめました。これも、すべてマークさんのおかげですよ」


そんなマーク兄さんを全く気にする事無く、にっこり笑顔で言葉を返した魁さんは、私の腰に腕を回して引き寄せる。

瞬間、マーク兄さんの蟀谷には青筋が浮かび、アル兄さんが信じられないといった表情で魁さんを見た。


「約束だからな。破る訳にはいかないだろう」


「約束を守ってもらえて、嬉しいです」


「「……………………」」


あの機嫌の悪いマーク兄さん相手に、笑顔で対応できる魁さんって凄い!!

アル兄さんでさえ、固まってしまってるというのに。

感心して、魁さんをジッと見ていれば


「では、ディナーに行くか。マリアも、お腹が空いているだろう?」


さっきとは、比べ物にならないくらい優しい声色が落ちてきた。