Wonderful DaysⅡ



「あ……あぁ。ジェットにいる兄さんから電話があってな」


一瞬で変わった、魁の持つ空気に気圧される。

三つも年下の筈なのに、コイツの持っている雰囲気は兄さんと似ていて……非常にやりづらい。


『今、アイツの様子が変なんだとしたら、それは────……』


「は? 何で、それでマリアの様子がおかしくなるんだよ?」


魁の言葉は、寝耳に水で。


『──…すぐに、マリアを日本に戻してください……』


電話の向こうから聞こえるアイツの声は珍しく弱い。


「マリアを日本に? それは無理だ。
Boxing day(26日)までは家族でゆっくりと過ごして、 New Year's eve(大晦日)はイギリスで迎える事になっているからな」


『New Year's eve? それじゃあ、遅い』


「そうは言っても、まだイギリスに向かっている途中だ。
それに…イギリスは、これから寒波がやってくる。
クリスマスイブから大雪の予報で、暫くはジェットを飛ばす事は出来ないと思うぞ?」