絡めとられた左手。

その薬指で存在を主張する新しい指輪に、口づけを落とした魁さんは


「───約束」


私の瞳を、真っ直ぐに捉える。


「約束……?」


「あぁ、約束だ。高校を卒業したら、必ずお前を迎えに行く。
本当は、俺が誕生日を迎えたら直ぐにでも掻っ攫いたいくらいだけどな」


───かっ、掻っ攫いたい!?


ストレートな言葉に、益々熱を帯びてくる顔は熱くて仕方がない。


「でも……」


「でも?」


一度、言葉を区切って、ちらりとホテルの入り口に視線を向けて呟いた魁さん。


「あの人が、それを許してくれるとは思えないしな」


「あの人……?」


つられるように、魁さんの視線の先を辿って行けば……


「……げっ!!!」


ホテルの入り口で、仁王立ちしている人物に背筋が凍る。