抱き寄せていた私の体を、少しだけ離すと
「礼を言うのは、俺の方だ」
「……え?」
「5年間、何の連絡も出来ずにいた俺を待っていてくれたんだからな」
「魁さん……」
眉尻を下げて話す魁さんは、私の顔を両手で押さえて固定する。
「マリア」
「……はい」
「ずっと待っていてくれて、ありがとう」
「……っ……」
魁さんの言葉を聞いた瞬間、息が止まるかと思った。
瞳を細めて見つめてくる眼差しは、どこまでも優しくて。
「───マリア」
名前を呼ばれる度に、胸の奥が熱くなる。
次第に視界は滲み、瞳からぽろぽろと零れ落ちていく涙が止まらない。
ぼやける視界の中、近づいてくるダークブラウンの瞳に、自然と瞼を閉じた。
唇に感じたのは、羽のようにやわらかい感触。
触れるだけの口づけを落とした魁さんは
「泣くなよ……」
困ったように呟いて、そっと私の涙を拭ってくれるけど、もう自分の意思で涙を止める事は出来なかった……

