『Hello.』
やっと繋がった相手に、ホッと息を吐く。
「インフルエンザで、寝込んでいるそうだな?」
『…………』
案の定、呆気なく目的の人物との会話に成功したのだが……
連絡がつかなかった理由が、“それ”と言うのが引っ掛かる。
───慧のヤツ……あれほどマリアとアイツを近づけるなと言ったのに!!!
最後に見た、慧の引き攣った笑顔を思い出す。
忠告を簡単に無視した慧には腹が立ったが、今はそれどころではなくて。
「ちょっと、お前に聞きたい事があるんだ」
『……聞きたい事?』
熱のせいなのか、魁の声は反応が鈍い。
「ここ最近、マリアに変わった様子は無かったか?」
『………………』
「魁、どうなんだ!?」
無言になってしまった魁に、確かめるように問いただせば
『様子が、変なのか?』
先ほどまでの鈍かった反応が嘘のように、低くなった声は鋭い。

