魁さん、電話長過ぎじゃないだろうか。

どうしちゃったんだろう?

もしかして、マーク兄さんから何か言われてるのかな……


「……………………」


十分、有り得るから怖いんだけど。

まさか、私を置いて帰ったりなんてしてない……よね?

そんな事は無いって分かっているのに、一向に姿を見せない魁さんを待っていれば、頭の中では悪い方にばかり考えてしまう。


「お、お手洗いに行くついでに、様子を見に行ってみようかな……」


誰も居ない部屋で独り言を呟いて、魁さんを探しに行く理由を探す。

きょろきょろと部屋を見渡して、少し待ってみたけれど……

居ても立ってもいられなくなって、席を立とうとテーブルに手を着いた時だった。

カチャリ、と控え目に聞こえてきた扉を開ける音に視線を向ければ


「…………あ」


「遅くなって悪い」


待ち焦がれていた魁さんが、少し息を切らしながら入り口に立っていた。