「……………………」


───魁さん、まだかなぁ……


あれから暫く経ったけれど、魁さんが戻って来る気配が無い。

まだ、マーク兄さんと話しているのだろうか?

魁さんには、ゆっくり食べてろって言われたけれど……

これ以上ケーキを食べる気にもなれず、手にしていたフォークは既にお皿の上に置かれ、芳しい香りをさせていた紅茶は、すっかり冷めきってしまっていた。


───カチコチカチコチ……


時計の秒針の音だけが鳴り響くこの部屋に一人で居ると、急激に不安が襲ってきて落ち着かなくなる。


「……魁さん、早く戻って来て……」


思わず零れた声は、やけに部屋に響く。






───それから更に10分後……


「………………戻って来ない」


魁さんが部屋を出て行ってから、既に30分が経っていた。