「……わ、悪かったよ!!」 私の背後で慌てて謝った彼に 「ホテルのロビーで助かったな。だが、二度目は無い」 しっかり警告をすると、親指を荒々しく突き放した。 「バカな弟が、ごめんなさいね」 張り詰めた空気の中、魁さんに謝罪の言葉を掛けたのは、私の前に居たアイリーンさんだった。 ……え? この人、アイリーンさんの弟だったの!? 驚く私を腕に閉じ込めたまま、アイリーンさんを一瞥した魁さんは 「行くぞ、マリア」 それを無視して踵を返して歩き出した。