何の打開策も無く、時間だけが過ぎていく。

マークさんは絶対無理だから、取り敢えずアル君に連絡を取ってみるか……

そう考えた俺は、スマホを取り出して電話帳からアル君の番号を指で触れる。


『Hello.』


ワンコールで出たアル君の声は、何故か不機嫌で。


「ハロー、アル君……って、何でそんなに不機嫌なのさ?」


マリアちゃんが居るっていうのに珍しい。


『ちょっとな……。それよりも、お前の弟に連絡がつかないんだが、何か知ってるか?』


「あー、多分、寝込んでたから電源切ってあったのかも」


『寝込んでる?』


「うん。インフルエンザ……あ……」


『──…インフルエンザ…?』


口にしてから気がついた。

魁君の病名がインフルエンザだなんて言ったら、間違いなく「マリアちゃんと接触してました」と言ってる様なもので。


『ふーん』


案の定、アル君からは意味深な「ふーん」が返ってきた。