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……嘘でしょ!?
「……私、アル兄さんを殴ったんですか……?」
魁さんから眠っている間の出来事を聞いて、サーっと血の気が引いていく。
「あぁ。そりゃもう、見事な裏拳だったぞ」
クッと喉の奥で笑う魁さんは、未だに私を腕の中に閉じ込めたままで。
全く記憶に無い驚愕の事実に、卒倒しそうになった私の体を支えてくれていた。
いくら低血圧で朝に弱いからといって、兄を殴る妹ってどうなの?
眠っている間の事とはいえ、自分がやってしまった事に自己嫌悪に陥る。
だから、さっきランスロットさんは私の顔を見て吹き出したのか……
「私……なんて事を……」
アル兄さんは怪我をしていないだろうか?
益々、青褪めていく私に気づいたのか
「兄貴なら、ただの打ち身だって言ってたぞ」
そう言って、頭をポンポンしてくれる。

