「…もう……目覚まし、うるっさい!!!」
「マリ……ぐほっ!!」
それは、一瞬の出来事だった。
魁に固定されていた体が自由になったマリアは、寝言なのか文句なのか区別がつかない言葉を発しながら腕を振り上げていて。「え?」と思った時には“時、既に遅し”。
凄いスピードで、二発の裏拳が飛んできていた。
「……くはっ!」
苦しくて、うまく呼吸が出来ない。
マリアが放った裏拳は、俺の右肩と鳩尾にきれいに決まっていた。
その勢いで後ろに吹っ飛ぶ瞬間、俺の目に映ったのは……
慌ててマリアを腕の中に閉じ込めた魁と、裏拳を受けた俺を青褪めた顔で見送っていた兄さんの顔だった。
その表情から、何で兄さんがベッドに近づかなかったのかを理解する俺。
兄さんは、無理矢理マリアを起こそうとすれば、こうなる事が分かっていたんだ。
酷いよ、兄さん……

