……兄さん? 何で、そんな後ろから声を掛けるんだい?
マリアの目の前に居る、俺のこの位置からでも起きないというのに。
兄さんが立っている場所といったら、俺から更に数メートル後ろの位置。
そんな距離から呼んだって、起きるわけがないじゃないか!
なんて事は、直接兄さんに言えないから心の中で文句を言って、マリアを起こそうと肩に手を触れた。
「マリア、起きるんだ!」
少し声を大きくして肩を揺すれば……
「……んぅ……」
微かに、くぐもった声がマリアの口から零れた。
あと、一声で目を覚ますだろうと思った俺は、もう一度強めに肩を揺する。
「マリア」
「……さ……い……」
さっきよりもハッキリと聞こえた声に、起きるだろうと確信した俺。
マリアの体を包んでいた魁の腕を解き、抱き上げようと腕を伸ばした時だった。

