「うわっ!」
後に続いて部屋に足を踏み入れた俺は、その場で立ち止まっていた兄さんにぶつかりそうになって、思わず声を上げた。
「……兄さん?」
声を掛けたのに、全く反応を見せない兄さん。
その様子が気になって、ちらりと覗き込めば
「───…で……」
「え?」
微かに動いた口から出た言葉は、聞き取れなかった。
当の兄さんはと言えば、覗き込んでいる俺の姿なんて視界に入っていなくて。
ただ呆然と、前方を見ているだけ……
それに倣って振り向けば、部屋に俺達以外の姿は見えないから、視線は自然とベッドに向かってしまう。
兄さんのその表情から“まさか”と思って乗り出せば……
羽毛の上掛けからは魁の顔と、見慣れたハニーブラウンがはみ出ていた。

