「失礼致します。モーニングティーをお持ち致しました」
そう言って、コツコツと靴音を鳴らして部屋に入って来た人物は、一番恐れていたマーク兄さんではなかったけれど、気まずい相手である事に変わりは無く。
「ありがとうございます」
動揺する素振りも見せずにお礼を言う魁さんだけど……
背後からビシバシ感じる鋭い視線が痛い。
「………………」
無言で、ベッド脇のテーブルに紅茶のセットをしていくランスロットさんからは物音一つ聞こえなくて。
益々、気まずい……
本来ならば、この沈黙に耐えられそうに無いけれど。
今、私の鼓膜にはトクントクンと穏やかな魁さんの心音が響いていて、何とかこの状況に耐えていた。
あぁ……ランスロットさんは、この状況をどう捉えているんだろうか。
やっぱり、マーク兄さんに話すのかな……なんて考えていれば
「マリア様も、やっとお目覚めのようですね」
まるで、最初から私が此処に居る事を知っていたかのような言葉が返ってきた。

