Wonderful DaysⅡ



結局、言葉にする事が出来なくて苦笑いで誤魔化していれば


「……汗」


ぽつりと呟いた魁さん。


「え?」


よく聞こえなくて、思わず聞き返してしまったけれど……


「汗、拭いてくれるんじゃないのか?」


するりと、タオルを握り締めていた手を掴まれれば、“ばっくんばっくん”と再び跳ね上がる心拍数。

上目遣いで視線を絡めてくる魁さんに、頭がクラクラしてきた。


───ダメだ……


冗談なんかじゃなくて、本気で鼻血が出ちゃうかもしれない!

だって、今の魁さんは警戒心ゼロでフェロモンがダダ漏れ状態。

今まで目の当たりにした事がないフェロモンを、私に耐えられる筈もなく……

顔に熱が集中していくのが、自分でもよくわかる。


「……はっ、ははははいっ! 只今、拭かせていただきます!」


どもりながらも、何とか声を出して答えると、きょとんとした魁さんは


「……ぶっ! くっくっ……何だよ、その言葉遣いは」


珍しく吹き出して、初めて見る無邪気な笑顔で笑い始めた。