まだ熱が高いのか、そこにいつもの鋭さはなく、ぼんやりと私を見上げている魁さん。
「お、起きていたんですか!?」
慌てて前髪に触れていた手を引けば
「……お前の独り言、でか過ぎ」
掠れた声で苦笑いを浮かべる魁さん。
「……で?」
「え?」
先を促す魁さんだけど、意味が分からず首を傾げれば
「何が、不公平なんだよ?」
どうやら、さっきの私の心の声の事を言っているらしい。
まさか「自分が寝込んでいた時の死人顔と、魁さんの寝顔を比べていました」なんて恥ずかしい事は言えない……
「あー、えっとー、そのー……」
言いよどむ私を見ながら、くすくすと笑う表情は穏やかで。
そんな魁さんを見て、改めて手の届く場所に彼が居てくれる事に幸せを感じた。

