「案内…?」


「あなたは、『不思議の国のアリス』という童話…知ってる?」



え…。

な、何このアリス…。

そりゃあ、不思議の国のアリスくらい誰だって知ってるでしょうよ。



「し、知ってるけど…そ、それがどうした…の…」


気付けばみんな下校していた。

まわりには誰もいない。


教室には、私とアリスがいるだけ。




「私は、不思議の国の姫。

でも…すごくめんどくさいから…

あなたに代わりに行って姫を演じてもらおうと思う」



「はぁっ⁈」



拍子抜けした。

ここまで怖い思いさせといて、こんなしょーもない事なの⁈


けど、面白そうかも…。

姫、だもんね…。


めんどくさいって、何がだろう。

でもきっと私にとっては楽しいんだろう。


まだ転校してきたばっかりで学校に楽しみなんてない。

毎日に楽しみなんてない。




生活が、楽しくない。




そう、感じていた。

だから私は



「…行く」


と答えたのだけど…。

その直後、なんだかどんどん意識が遠のいて…。


「…っ⁈ あ、りす…⁈」


とっさに考えてもアリスの仕業としか思えなくて…。






そのまま、意識を手放しちゃったんだ。