「アヤ・・・」


暗闇の中で、アヤの名前を呼ぶ。


「ん?」


隣で返事をするアヤの顔は見えないけど、きっと優しい表情を浮かべてる。そう分かる。


「・・・手、握って?」


「うん。」


アヤの体温があたしの左手に伝わってきた。


温かい・・・


アヤのこと、もっと知りたい。


そう思えるのは、真琴にふられてすぐで、心がおかしいから?


真琴のこと好きなままで、こうやって名前しか知らない人の家に転がり込んで、一緒に寝てる。


不思議だけど、アヤのそばにいたいから。


「アヤ。」


名前を呼ぶけれど、返事はなかった。


もう、寝ちゃった?


歳も、本名も、なにをしてる人かも、知らないこの人にいえること。


言葉に嘘はない。


アヤの言葉にひとつも嘘はない。


それだけは確かなこと。


だから、そばにいたいって思えるんだ。


真琴のことは好きだけど、今は寂しいから、アヤに支えて欲しい。


そう思っていいんだよね?


気づけばあたしも眠りについていた。


繋いだ手からの温もりを感じながら。