心はアヤに会いたいって、そう強く思う。


けれど体がこわばって、一瞬足が止まる。


会いたくない。


あんな、両親なんかに・・・


ずっと逃げて、逃げて、もう会わないって決めてた。


だけど、アヤに会いたいから・・・だから・・・


大丈夫。あたしは強くなった。あの頃のあたしじゃない。


深呼吸をして、薬品の匂いがする病院へ足を進めた。










「あの、会いたい人がいるんですけれど・・・」


受付で感じの良いお姉さんにそこまで言って、ハッとした。


あたし、アヤの名前とか知らないじゃん。


アヤってあだ名と、ここにいるってことしか情報ないし。


「名前・・・わかんないんですけど、アヤってたぶんつく25歳くらいの男性で・・・」


ってか、そもそもここにいるって入院してるの?働いてるの?それすらもわかんないのに会えるわけ・・・



「あの、もしかして陽菜子さんですか・・・?」


受付のお姉さんが不思議そうにあたしの顔に見つめた。


「は、はい。」


「栗田(クリタ)先生が、第二会議室でお待ちしておりますので、ただいまご案内します。おかけになってお待ちください。」


栗田先生って・・・


なんで・・・