突然の、メールだった。


“久しぶり。どうしても、話がしたい。”


その文面を見たときに、少しだけガッカリした自分がいた。


真琴か・・・


アヤからのメールを望んでる。来るわけないのに。


メールアドレスも、住所も、電話番号もなにも知らない。


本当の名前さえしらない。


あたしは“ヒナ”で、アヤは“アヤ”。


それだけで充分だと思えた。


なのに、それが仇になった。


何も知らない。だから、会えない。


もう、時効なのかなぁ・・・


そう考えながら、返信した。


すぐに真琴から、電話がかかってきた。


そんなに急用なの?


「はい。」


「ヒナ?」


ドキッとした。久しぶりに呼ばれた、ヒナという名前。


「なに?どうしたの?」


「今すぐ、会えないか?」


暗い声。真琴らしくないと思えた。


「大丈夫だよ。じゃあ、どうしようか?」


「・・・あのカフェで、待ってる・・・。」


あのカフェ。


あたしたちの終わり。あの日の待ち合わせ場所。


何かが動き出した。