「じゃ、一緒に寝ようか。」
さらっと言ったアヤを二度見した。
「・・・今なんて?」
「だから、一緒に寝ようって。」
「あたしになんのメリットがあるんですか。」
「物事をメリットなんかで考えて面白い?何事もやってみないとわからないことだらけでしょ?」
優しい微笑み。
真琴と重ねてしまう自分が嫌だと思った。
「・・・」
「ヒナ?」
「ねぇ、アヤ。あたし、まだ真琴のことが」
「わかってるよ。」
アヤが優しく包み込むようにあたしを抱いた。
「ヒナが好きなのは、真琴くん。俺はヒナを支えたいだけだから。それでもダメなら諦めるよ。」
支えたい。
誰かを支えたいと、思ったことが今までにあるだろうか。
誰かを好きになったとしても、自分を好きになって欲しいとしか思ったことがないんじゃないか。
それを、アヤは・・・
「・・・ヒナ?泣いてる?」
自然と涙が零れてていた。
どうして、涙なんて流れてくるの。
「アヤぁっ・・・ありがとう・・・」
「うん。ほら、寝る前に泣いたら目腫れるよー?」
優しく頭を撫でる手つきが、やっぱり真琴に似てる。
でも、もうそんなのどうでもよかった。
あたしは、アヤに支えて欲しいんだ。そう気づけたから。


