「ただいまー。」


誰もいない家に、あいさつする。


癖になってるけど、きっと心のどこかで未だに思っているから。


アヤが「おかえり」って言ってくれること。


バカだよね、あたし。


返事が返ってこなくて、また泣くんだから。


ため息をひとつついて、ソファに腰掛けた。


寂しい。


どうしようもないくらいに、寂しい。


あたしはアヤに出逢ってから、弱くなった。


誰かに頼ってもいいことを知った。


必要とされていることが、あたしの存在価値を示していた。


「・・・全部、アヤのせいだよ。」


責任とってよ。


また、深いため息。


窓の外から見える、真っ赤に染まった空をただ、見つめていた。


アヤのことだけを考えながら。


━━━━少なくとも、そのときまでは。