~Day,7~
大好きだった彼氏にフラれ、傷心しきって立っていたあたしは、とある人に声をかけられる。
「ねぇ、俺と付き合わない?」
ナンパから始まったはずなのに、あたしはその人に惚れてしまった。
優しくて、ときに意地悪で、料理が上手で、よく語る人。
その人はおためし彼氏として、あたしのそばにいてくれた。
その人のおかげで、あたしはいろいろなことに気づくことができた。
真琴とのことも、自分のことも、そしてその人のことも。
たくさんのことを教えてくれた。
たくさんの幸せをくれた。
たくさんの愛を、優しさをくれた。
その人のことを、愛していた。
そして、その人もあたしのことを・・・愛していた。
・・・そんな夢を見た。
そう一言で片付けられたら、どんなに楽になるのだろう?
いつもどおりに目が覚めても、聞こえてこないBGMの包丁の音。鼻をくすぐるような、炒め物の香り。
耳にほのかな熱をもたらす、アヤの「おはよう」の甘い声・・・。
神様、どうか・・・夢ならば、覚めないで。


