おためし彼氏の5日間。





アヤが作り置きしてくれたご飯が、キッチンに残っていた。


冷蔵庫にも、見覚えのないおかずが並んでいて、また涙をさそう。


「アヤのばか・・・余計に苦しいよ。」


温め直して、テーブルに並べた。


向かいにアヤがいない。それだけなのに。


一人で食べるご飯って、こんなに美味しくなかったっけ・・・。


今まで、ずっと一人だったはずなのに。


でも、アヤのご飯の味がする。それが少しだけ心を温かくする。


・・・でも、アヤがいない現実があたしに容赦なく牙を向ける。


「・・・っ」


しょっぱい。涙で、味がわからなくなる。


アヤ・・・。


アヤ。


アヤは帰ってこない。


だから、こんなに苦しくて寂しい。


いっそのこと、アヤに出逢わなかったら、こんな想いしなくて済んだのかな・・・。


いや、そんなことない。


アヤに出逢えなかったら、あたしは・・・






でもね、アヤ。


やっぱり寂しいよ。