アヤが作り置きしてくれたご飯が、キッチンに残っていた。
冷蔵庫にも、見覚えのないおかずが並んでいて、また涙をさそう。
「アヤのばか・・・余計に苦しいよ。」
温め直して、テーブルに並べた。
向かいにアヤがいない。それだけなのに。
一人で食べるご飯って、こんなに美味しくなかったっけ・・・。
今まで、ずっと一人だったはずなのに。
でも、アヤのご飯の味がする。それが少しだけ心を温かくする。
・・・でも、アヤがいない現実があたしに容赦なく牙を向ける。
「・・・っ」
しょっぱい。涙で、味がわからなくなる。
アヤ・・・。
アヤ。
アヤは帰ってこない。
だから、こんなに苦しくて寂しい。
いっそのこと、アヤに出逢わなかったら、こんな想いしなくて済んだのかな・・・。
いや、そんなことない。
アヤに出逢えなかったら、あたしは・・・
でもね、アヤ。
やっぱり寂しいよ。


