おためし彼氏の5日間。



涙は、もう止まらなかった。


むしろ、止まらなくていいと思えた。


この涙は、あたしがアヤを愛していた証。アヤがあたしを愛していた証。


左手の薬指にはめられたシルバーリングは、アヤが帰ってくる予感。



約束は、覚えているのかな?


これからもずっと、覚えていてくれるのかな?


きっと、いつかまた会えるよね?


アヤを信じていいんだよね?





あたしがアヤの話を未来形でするのは、気づいていたから。


・・・もしかしたら明日帰ってくるかも、だなんて思えなかった。


あたしがアヤを忘れた頃に、結婚した頃にひょこっと帰ってきて、リングを返してと言うんだ。


いや、アヤはあたしのことを忘れてしまうかもしれない。


たった、5日間の夢だから。


あたしのことなんて、約束なんて、全て忘れてしまうかもしれない・・・。


いっそのこと、全て消えてしまえばいいのに。


アヤと出逢ったことさえも。










アヤは帰ってこない。


そのことに気づいてた自分が、確かにココにいた。