おためし彼氏の5日間。




アヤといた時間はあまりにも短すぎて、なのに濃すぎて。


思い出だけが走馬灯のように、過ぎていく。


・・・出逢ったのは、たった5日前。


まだ、一週間も経っていないのに。


なのにずっと一緒にいたように、アヤはあたしの心を占めていた。


ナンパみたいに、始まったこの恋だけど、間違いではなかった。


アヤの言葉、一つ一つが頭によぎっていく。


そんな、あたし自身に腹が立った。


・・・まだ、思い返す時期じゃないのに。


アヤは、帰ってくるかもしれない。


晩ご飯の買い物に行っているだけかもしれない。


ただ、そう思いたいだけだとわかっているけれど、そんな妄想は止められない。


アヤは、もういない。


帰ってこない。


わかってる。


わかってるよ、でも・・・


まだ、微かな希望を感じていたい。


そう思って、箱からリングと取り出し、左手の小指にはめた。


・・・あれ・・・?


サイズが合わない。


まさか。


高鳴る胸の鼓動で、手が震える。


ドキドキしながら、リングを薬指にはめた。


まるで、絵本で読んだシンデレラの靴のように、リングはピッタリとはまった。