「ほら、座って!」


微笑むアヤに促されて、イスに座る。


テーブルの上には豪華な晩ご飯が並んでいた。


「さ、食べよ!今日はちょっと頑張っちゃったんだよね、俺。」


か、可愛い・・・って、そうじゃなくて!


「じゃあ、いただき」


「あ、あのね!あたし、誕生日・・・明日なの!」


思い切って言うと、アヤはフォークを止めた。


そして、あたしの顔を見て、眉を八の字にして、今にも泣きそうな顔をした。


「・・・ヒナぁ~っ!!ごめん!俺、カレンダー見て、ヒナの誕生日知ったんだけど、勘違いして。でも、ご飯作っちゃったあとに気がついて、だから、どうしようもなくて・・・」


珍しくアヤがあたふたして、謝ってきた。


あたしも慌てて慰める。


「いいんだよ、アヤ。気持ちだから!こういうのって気持ちが大切だと思う!だから、いいの。今日で。ね?」


いただきまーす、と大好物のハンバーグを一口食べると、いつものアヤのご飯の味がした。


「美味しい!やっぱりこんなご飯毎日食べられるなんて幸せだね、あたし。」


そういうとアヤは少し頬を赤らめて、ありがと、と笑った。


「俺も、ヒナといれて本当に幸せだよ。ありがとう。」


その笑みは、いつもよりも優しく感じた。